ちいさいとき、私は一人遊びが好きだった。
幼稚園に行ってからの方がどうしていいかわからなかったくらい。
祖母や母の目が届かない時、私は母のいろいろな裁縫道具や、祖父の大工道具などを取り出して、あれこれ遊んだ。
おじいちゃんは、何かなくなると、また真弓が悪さしてー!?と言っていた。
このおじいちゃんとはデパートの屋上の遊園地での思い出がある。
ある日私だけおじいちゃんにデパートに連れて行ってもらった。
その日の写真はまだあって、私はちょっとベレー帽の高さのあるような帽子にオーバー、その色も着ていたときの感じそのものにしっかり覚えている。ハンサムなおじいちゃんは、珍しく素敵なコートを着ていた。
私は回転木馬に乗ろうとして、一人で乗ることができなかった。
その次の回におじいちゃんは自分の分もチケットを余分に渡して、私を乗せて、その横について乗ってくれた。
なぜだかその日のことを鮮明に覚えていて、私は、その時のおじいちゃんの、私の気持ちに寄り添ってくれるその気持ちを幼いながらにじんわり感じていた。
思えば父方の祖父母、特に婿入りの祖父は、優しい、温かい人だった。
じんわり来る温かさがあの家にはあった。
大人になって、周りにいつも人がいる仕事に就き、一人の時間がなかなかもてないときもあった。
ときに一人になって、一人で考えたり感じたりしたいときがある。