まさか母から始めることになろうとは・・・。(笑)

まだ30代の頃だったかな・・・?
資生堂のCMで、「50代が美しくなると日本は美しくなる。」というフレーズを聴いていた。
なるほどな・・・、と感心していた。
それを良いと思うか悪いと思うかは別にして、そして、およそ実践できていたわけでもないと思うが、私が新卒で勤めた学校では、服装がやかましく言われたし(一部の人とはいえ。)、男子の先輩には、女子職員は、スカートを履くべきだ・・・、と言ってのける人もいて、何を言っているのだろう・・・?と思っていたけれど、とりあえず、指導に役に立つことなら、なんでも聞いていた私。

若い娘なのに、全く衣服にかまわない私を見かねた、先輩の先生の奥様が、
先生、先生が素敵な服装をして、教壇に立ったら、生徒たいはやる気になると思うよ。
そりゃあ、素敵な先生から国語教えてもらったら、自分もやろうと思うじゃない。
だいたい、自分自身だって毎日の生活にいいことがあると思わよ・・・。
と言われ、この指導力に役に立つ、というところだけをいただいて、あれこれやってみた。

まずは前髪を輪ゴムでくくられた。
そしたら、図書館に来た生徒に、「先生、なんか可愛い!」と言われて、ほうら、ご覧・・・、とばかりに指摘され、そしたらやる気になってしまい、髪留めを探し出し、先輩に、これはさすがに若すぎるやろ・・・、とからかわれながら、一つ二つと買い初め、髪にウェーブをかけるわ、フレアースカートを履きだすわ、それからあれこれやり出した。
本当におかしなもので、本を買って、勉強して、必死に教材研究をするよりも、生徒は私の言うことを聞きだしたのである。

なるほどね!と思った。
それから後、仕事をするときには、まずは服装から考えたし、どんな服装が良いですか?と訊ねることから始めた。
予備校のみの勤務のときには、バッチリ髪を染め、ネイルも私なりに厳重にした。

これは、自分の中身をうまく見せるために有効だと実感した。
いくら岩波の古典文学大系を研究して、古典を面白く語りたいと思っても、そのラッピングが、うまく行かなければ、私の中身にまでは辿り着いてもらえないんだな、と思う。
よく、その時々に手伝ってくれるスタッフに対して、結婚指輪を持って、プロポーズするときに、その指輪を、新聞紙に包んでいったら、その指輪の価値は、台無しになるでしょ?と話してきた。
大学受験指導をするときには、スーツでもいいと思う。

私は、生徒の気合を入れたいときは、いきなりスーツ姿で授業する。
そして、ちょっと洋服を替えてみたりする。
時にはネイルもする。派手ではないなら、それで、効果があるなら、一応やってみる。

ということで、外見の大切さは、知っているし、それがご本人をやる気にさせる根源になってくれることも知っている。

高岡の高齢のご婦人をおしゃれにしたい・・・、などとインタビュー記事でお話したことがあったけど、どうも、その実験台になったのは、母のようである。
そもそもお姑さんは、昔からおしゃれで、美しい方であったし。
昨日、母を美容室に連れて行って、パーマを掛けてもらった。
一緒にいる私もつい見とれてしまうほど、若々しくなった。
どうも本人も、元気になって、やる気になっている様子。
自分は、自分には見えないけれど、外出先でも、可愛くなられて・・・。可愛いなんて言ったら、失礼かもしれないけど・・・、と褒めていただいたようで、そんな言葉が嬉しいようで。

私のように、なんでも指導効果に結び付けて考えるのもどうかと思うけど、それで、元気になって、毎日が生き生きしたものになってくるのなら、とっても素敵なことだと思う。
せっかく女性に生まれたのだから、そのことを最大限楽しんで、生活しなくては・・・、と思う。

「50代が美しくなったら、日本の国が美しくなる。」、というキャッチ・コピーは、すべての女性に当てはまることだと思う。
でも、本当に美しくなってきた気のする日本だなあ、とも思っている。