ときに古臭く聞こえる話かもしれない。
でも、そんなことを教えられていたから、私の子育ては、毎日発見の連続で、ああ、小さい子ってこんな風に感じるんだなあ、とか、気持ちを聞くって、こういうことか・・・、と思わされたことが多く楽しかった。
たとえば、あるお子さんがお父さんと寝なさい、と言っても、なかなかぐずぐずして、お母さんにまとわりついては慣れない、というときに、ふとなぜだろう?と訊いてみたら、なんとその子は、
お父さんと寝たら、お父さんは風邪気味なので、わたしがうつったら、お母さんの用事が増えて、お母さんが困るでしょう・・・?
と言ったらしいのである。
ああ、子どもの気持ちを聴き損ねるところだった・・・、と怖かったという話である。
こういう誤解をされ続けたとしたら、その子の気持ちに影響があるのは当然である。
誠意を大人の都合で、受け止めてしまって、悪い子、気遣いのできない子になってしまうかもしれない。
そんなこんなを私も経験した。
ママが一生懸命お仕事してるから、と飲食厳禁の書斎にアイスコーヒーを持って来てくれた息子が、コーヒーをこぼしたと言って叱り、それを拭こうとしてタオル(一番いい、私のお気に入りのタオルだった。)を持って来て床を拭いたので、叱りつけようとした瞬間、
あれ?なんでこの子はここにコーヒーを持ってきたのだろう?
と思い、
もしかしたら、○○ちゃん、ママのために持って来てくれたの?
と聞いても、彼は下を向いて答えられなかった。
絵本を読んでほしくて、一緒に寝たくて、でも、わがまま言うのではなくて、コーヒーを持って来てくれた優しい子だった。
ああ、聞き損ねたな、子どもの気持ち。
と怖くなった。
毎日気持ちに余裕のない生活をしていると、仕上げなければならない仕事や、やらなければならないことに気持ちが行ってしまい、人の気持ちを聴くことがおろそかになってしまいがちである。
それは生徒さんにも気をつけていることである。
ふん?と思った質問に対して、あるいは言動に対して、正しく受け止められているか・・・?
そんなこんなをよく考える。
でも、ときに講習時などで、指導をこなすのに精一杯のときに、生徒さんの気持ちを受け止め損ねていないか、と気になる。
気付いた時点でフォローもするのだけれど・・・。
一生、修行で、子育てにしても一生親だし、教師としても、一生教師だと思う。
今いる地点から、少しでも成長できるよう、努めていくしかないんだなあ。